SES業界では、やたらと稼働しているエンジニアの人数を誇る営業がいます。
一見すると、案件をたくさん持っていて、大勢のエンジニアから信頼を寄せられているように見えます。
もちろん信頼を寄せられている営業もいますが、必ずしもそうではありません。
そう言う営業の中には、多数のエンジニアを多数の顧客に価格を下げて提案するという手法をとる人がいます。いわゆる「薄利多売」戦略です。
彼らの強みは「速さ」です。優秀な営業ほど、あっと言う間に案件を決めることができます。
これにより、たくさんのエンジニアが稼働することになります。
エンジニアに案件を選ばせないことも多く、ひどい場合には面談に呼ばれるまで案件の内容を教えてくれないこともあります。
そう言う営業は、できるだけたくさんのエンジニアを稼働させるために、ひとりひとりのエンジニアに対して使える時間が少なく、エンジニアを十分にフォローする時間がありません。
また、営業が多数のエンジニアを抱えているため、月末には契約が終了するエンジニアの人数も多く、その数を補うために多数のエンジニアを安く提案し続けなければなりません。
できるだけ多くのエンジニアを稼働させて利益を得る手法は、売上を最大化することはできますが、エンジニアを大切にする企業の方針に合いません。
SES業界では、やたらと売上高を誇る営業がいます。
一見すると、優良顧客を抱えていて、高レベルな案件と優秀なエンジニアを抱えているように見えます。
もちろん中には高レベルな案件を抱えている営業もいますが、必ずしもそうではありません。
そう言う営業の中には、エンジニアの単価を最大限に上げることで高い売上高を達成するという手法をとる人がいます。いわゆる「厚利寡売」戦略です。
ただ、エンジニアの単価が高いと、エンジニア自身も顧客に高い価値を提供しなければなりません。
そのため、営業はエンジニアのスキルを盛ったり、経歴書の改ざんを行うことがあるため、エンジニアが顧客の期待に応えることが困難になることがあります。
その結果、エンジニアの成長や会社の信頼を損なうことにもつながります。
高単価でエンジニアを稼働させて利益を得る手法は、顧客の期待に応えられなかった場合、短期的に顧客を失うことが多く、常に新しい顧客を開拓することが求められます。
マーケティングでは、薄利多売か厚利寡売のいずれかのモデルがあり、中小企業は厚利寡売をとるべきだと教えられます。
ここでは敢えて、そのどちらでもない第3のモデルについて言及します。
SES業界で言えば、人数ばかりを誇るわけではなく、高単価・高スキルを誇るわけでもありません。
人数や高単価にはそれほどこだわりません。
エンジニアの現在の提供する価値だけではなく、エンジニアや会社の成長や変化を含む価値を提供します。
これは、顧客やエンジニアと向き合い、顧客とエンジニアの求めるものを追求すると言うものです。
そのため、当社はできるだけひとつのお客様と長く取引を行えるよう働きかけを行います。
それでもエンジニアの求めるスキルを得られない、未来が拓けないと判断した場合は、エンジニア合意の上で他の案件にスライドします。
当社のQukuri(くくり)と言う社名は、こうした経営上の想いを元に作られました。
顧客とも、エンジニアとも、しっかりと寄り添って、縁を大切にくくる。
そんな会社でありたいと考えています。